
停電があった地域
28日午前3時10分ごろ、群馬県草津町、長野原町、六合(くに)村、嬬恋(つまごい)村の計4町村の全世帯約2万3000戸が停電した。東京電力が午前9時からヘリコプターで調査し同9時半ごろ、長野原町川原湯の山間部で、6万6000ボルトの高圧電流が流れる送電線に高さ10メートル以上のアカシアの木が倒れ、ショートしているのが見つかった。撤去作業を進め、午前11時10分ごろから順次復旧した。
約8時間に及んだ停電の影響で、草津町役場には「電気がつかない」という問い合わせが殺到。168軒を数える草津温泉などの旅館では、くみ上げポンプが動かずお湯が出なかったり、コンピューターによる清算ができずに宿泊客の出発が遅れるなどの混乱が起きた。
同県警長野原署によると、4町村内に31カ所ある信号機のうち、別の送電ルートが使えなかった17カ所が消えたため、警察官が街頭で交通整理した。
JR吾妻線は長野原草津口−大前間が、始発から上下線とも不通になり、JR東日本は同区間をバスで代替輸送した。【木下訓明】
◇かき入れ時に、湯が出ない!
「温泉の湯が出ない」。群馬県西部で28日未明に起きた大規模停電は、夏本番のかき入れ時を迎えた草津温泉の旅館や観光施設を直撃した。旅館の多くは、温泉をくみ上げるポンプが止まって風呂が使えない状態に。草津町役場は早朝から防災無線を使い、不安に包まれる住民や観光客への状況説明に追われた。
神奈川県横須賀市から来た女性宿泊客(62)は、午前3時ごろに部屋の非常灯が明るくなり、目が覚めた。「最初は火事かと思った。停電と知って安心したけれど、トイレも使えず、顔も洗っていない。朝食が作れない旅館がおむすびを用意したのでそれを食べた。自販機も動かないので飲み物も飲めない」と疲れた様子で話した。
町内にリゾートマンションを持つ埼玉県川口市の男性(67)は「エレベーターが使えなくなり、水の確保のために9階の部屋から階段で何度も往復した」と語った。
ほぼ満室の約640人が宿泊していた「ホテル櫻井」では、湯の供給や廊下の照明を自家発電に切り替えてしのいだが、未明から「部屋の電気がつかない」などの苦情対応に追われた。
別の旅館は、温泉の供給がストップしたため風呂の使用を止めた。さらに、精算が通常通りできず、チェックアウトの際も手書きの領収書を渡した。同温泉旅館協同組合は「こんな事態は初めて」と困惑を隠さない。
観光施設も影響を受けた。アイスクリームや冷凍のそば、うどんなどを販売している国道292号沿いの「草津運動茶屋公園・道の駅」の従業員は「売り物にならなくなる」と肩を落とす。温泉街の土産物店で働く女性は「来月1〜3日には、1年で最も活気づく感謝祭がある。仕入れを増やしている店も多いのに……」と顔を曇らせた。
また、白根山ロープウェーや町営の露天風呂も営業休止に追い込まれた。熱帯植物やワニ、ヘビなどを飼育展示している「草津熱帯圏」は、照明が消えて見えにくくなったため、入園料(1000円)を半額にした。
町役場には「いつ復旧するのか」といった問い合わせが殺到し、職員がほぼ総出で対応した。
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